小泉 忍 |
【逆転】はYKKの商品をデザインのポイントとして使用し、まとまりよく仕上げています。またサンダルに変化しても機能面が崩れることなく、当初のデザインがぶれていない、作り手が好きなものを作っているなと思えるわかりやすくバランスのとれた作品でした。さらに1つアドバイスをすると、サンダルとしての履き心地をもっと追求れば、実際に商品化されてもおかしくないレベルの作品に仕上がったと思います。 |
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坂口 英明 |
【バッグ兼オブジェ】は「デザイン」「バックがオブジェになるという発想」「仕立て」のどこをみても、全体的にクオリティが高かったです。クールで無機質なメタルと有機物であるレザーを組み合わせ、グログランテープでバイカラーを表現した点や、袋と箱、直線と曲線、アールデコとアールヌーボーを対比・調和させている点が素晴らしく、非常によい作品でした。 |
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ハン アンスン |
【フェミニズムをもった二面性】は女性の強さと強い曲線美は何か、という問いかけからはじまり、それを相撲に結び付けるという斬新なアイデアでしたが、それをきちんと表現している点を高く評価しました。インパクトだけでなく完成度も高かったです。 |
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廣川 玉枝 |
【rice terraces】は遊び心がある作品で、グログランテープの形状でアートを作り、「棚田」を表現している、大変ユニークな作品です。また色の配色や細かな気配りなど作者の思いが込められており、完成度が高いことを評価しました。 |
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藤田 恭一 |
ファッション業界は厳しい時代が続いており、経済とのリンクの中でパワーゲームのようになっています。その中で働いている我々デザイナーは力と量に負けないバランスを持ち、「想像」と「理想」と突き詰め、自分に妥協することなく、シンプルで力強く働きかけることが必要です。グランプリの【~stone~】は、昔からある「スモッキング」という非常に手のかかる手法を用いています。それをインダストリーであるYKKの商品と組み合わせることで、手作業とインダストリーのバランスのよさが体現されている素晴らしい作品です。作者が理想を最後まで貫き、シンプルに作り上げたことがグランプリという評価につながりました。 |
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三原 英詳 |
グランプリの【ミリタリーホールド】は作り手のプロセスや考え方が見える作品で、従来のハンドバッグとは違う新しい試みがなされています。持った時もバランスも細かく考えられており「ものを作る」ことをきちんと踏まえているだけでなく、作品名でもある「ホールドする」というコンセプトの元、試行錯誤しつつ使う人のことを考えてデザインからよく考えた上で作成された、まさに「ものづくりの結果」として出来上がったすばらしい作品だと思います。 |
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YKK株式会社 代表取締役社長 猿丸 雅之 |
「YKK特別賞」はデザイナーの先生方とは違った視点で評価させて頂いております。ファッショングッズ部門の【階段式】は、凝った作品を多数応募頂いた中で、シンプルなデザイン性が際立っており、ファスナーが持つ「開閉」・「つなぐ」という本来の機能がデザインとして作り込まれ、またディディールも素晴らしく、仕上がりのよい作品でした。アパレル部門の【檻の中の虎】は、テーマがわかりやすく見ていて楽しくなる作品で、作者の楽しみが伝わってくるようでした。加えて弊社のファスニング商品がバランスよく使われていることも評価につながりました。今年のアワードは作り込まれた作品が多く、単に手間をかけたということに留まらず「やりきった感」が伝わるものが多くありました。一方で、これを今すぐ使いたいと思う作品は少なかったように思います。デザインとしての作り込みだけでなく、実用性につなげるということが今後の課題になると考えます。弊社は、メーカーという立場でこれからも「日本のものづくり」を底辺から支えたいという気持ちで引き続きファスニングアワードを実施して参りますので、次回も引き続きご応募の程よろしくお願いいたします。 |