YKK株式会社 統合報告書「This is YKK 2025」発行 ~新経営体制のもと、YKK精神「善の巡環」を継承し「ONE YKK」で新中期事業計画に挑む~

2025年08月01日

 YKK株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:松嶋耕一、以下 YKK)は、この度、YKK精神「善の巡環」を根幹とした経営・事業活動およびサステナビリティへの取り組みについて、財務情報と非財務情報を統合的にまとめた統合報告書「This is YKK 2025」を発行いたしました。

 統合報告書「This is YKK」では、ファスニング事業における長期的な持続的成長に向けた価値創造、中期事業戦略およびサステナビリティへの取り組みの全体像と進捗状況を、創業者𠮷田忠雄の時代から現在まで脈々と受け継がれるYKK精神・経営理念を軸としたストーリーとして紹介しています。
 YKKは、2025年4月より松嶋耕一が代表取締役社長に就任し、新たな経営体制のもと、第7次中期経営計画をスタートいたしました。
 本報告書「This is YKK 2025」では、「ONE YKKによる持続可能社会実現への貢献」を軸とした第7次中期事業計画の特集を掲載しています。

 経営の中心に据えるサステナビリティについて「YKKサステナビリティビジョン2050」の実現に向けた2024年度の活動実績および2025年度以降の計画、脱炭素・循環型社会の実現に向けた具体的な取り組みを報告しています。また、YKKの事業活動を支える原動力であり、今後の成長を担う人財の育成について「森林経営」の考え方とグローバルでの人的資本強化の取り組みを会長鼎談にて展開しています。

 さらに、企業価値の一層の向上を目指したコーポレート・ガバナンスの強化に向けた考え方や体制、社外監査役の視点から語られるYKKの理念経営とガバナンスへの姿勢についても紹介しています。

■「This is YKK 2025」主な掲載内容

「善の巡環」とサステナビリティ/価値創造と成長の歴史/経営理念の実践/トップメッセージ/第7次中期事業方針と事業戦略/
「YKKサステナビリティビジョン2050」実現に向けた取り組み/コーポレート・ガバナンス/主要財務・非財務ハイライト/ESG(環境・社会・ガバナンス)など

■形式

  • 冊子(日本語版)      :
    A4版 60ページ ※英語版・中国語版は2025年11月頃公開予定
  • PDFデータ(日本語版) :
    A4版104ページ

統合報告書「This is YKK 2025」は、YKKウェブサイトからご覧頂けます。

■「YKKサステナビリティビジョン2050」達成に向けた取り組み

 YKKはグローバルに事業活動を展開する中で、2050年までに「気候中立」と「自然との共生」の実現を目指す「YKKサステナビリティビジョン2050」を策定し、「気候」「資源」「水」「化学物質」「人権」の5つのテーマと関連する10項目のSDGsの達成にむけて多面的な取り組みを進めています。その進捗状況を本報告書にて開示しています。

 2050年度までにサプライチェーン全体で温室効果ガス(GHG)の排出量実質ゼロを達成するというYKKの長期目標が、「Science Based Targets initiative(以下、SBTi)」によりSBTiネットゼロ基準を満たすと認定されました。2030年までの短期目標のみならず、ネットゼロ目標のもと、自社およびサプライチェーンにおける温室効果ガスの排出量を2050年までにScope1+2において90%削減、Scope3において90%削減(ともに2018年度比)する取り組みを推進しています(※1)。
 気候変動対応と透明性の高い情報開示の観点からCDP(※2)による2024年度の「気候変動」に関する調査において、最高評価である「Aリスト」に2年連続で選定されました。さらに、「サプライヤーエンゲージメント評価」においても、3年連続で最高評価の「サプライヤーエンゲージメント・リーダー」に選ばれています。

 材料や製品ができるだけ長く活用され、循環し続けるサーキュラーエコノミー(循環型経済)に貢献する商品・技術の開発に注力しています。ファスナーのテープ部分に再生材を使用したNATULON® シリーズへの切り替えや、破損したエレメントを修理できる「リペア対応シリーズ」、使用後のリサイクルを想定し、可能な限りPET材料を使用したPETガーメントリサイクル対応ファスナーなどの商品を拡充しています。さらに、これまで廃棄されていたファスニング製品を新たな資源として再びファスニング製品へ生まれ変わらせるzip TO zip® の取り組みも開始しました。

NATULON® Fiber Sourced®
「リペア対応シリーズ」
  1. ※1残りの10%以内の排出量は炭素吸収や除去等によりゼロとする必要があります。
  2. ※2企業や自治体の環境情報開示のためのシステムを有する国際的な非営利団体。企業の環境情報の開示や環境保護活動を先導している。

 YKKは、今後もステークホルダーの皆様との積極的な相互コミュニケーションを重視し、事業活動を通して、持続可能な社会への貢献を目指してまいります。

■「YKKサステナビリティビジョン2050」目標達成に向けた2024年度活動実績

【気候】

  • Scope1+2における温室効果ガス排出量234,679t(基準年2018年度比 57.0%削減)
  • Scope3における温室効果ガス排出量747,276t(基準年2018年度比 14.4%削減)
  • 使用電力全体に占める再エネの比率 61.2%
  • 使用電力を再エネ100%で稼働する拠点数 45拠点
    なお、中国極においては全拠点で使用電力の再エネ率が100%となりました。
  • 太陽光発電設備稼働 7件(累計34拠点)
  • 石炭ボイラー廃止に向け代替機手配

【資源】

  • 持続可能素材(リサイクル材、植物由来材料など)の割合48%(前年度比 +10ポイント)
  • 持続可能な形態の梱包材への切り替え実績 全社20%(※1)
  • 廃棄物の再資源化率 93.9%(前年比 +2.0ポイント)
  • 「The Copper Mark」認証(※2)を有するサプライヤーのみとの取引を目標に、未取得サプライヤーへの認証取得を働きかけ
  • 循環型社会実現に向けたPETガーメントリサイクル対応ファスナー「NATULON Plus® 再生PET開具」発表
  • YKKのファスナーをより長く使用いただくための「リペア対応シリーズ」の新商品販売開始
  • ファスナーに使用される銅合金および亜鉛合金の社内リサイクルシステムの実用化に向けて、黒部工場にてトライアルを実施
  • 植樹活動や清掃活動の実施

【水】

  • 取水量10,638千トン(基準年2018年度比7.5%削減)
  • 取水量原単位 2023年度比 3.2%増加(※3)
  • 水使用量の削減につながる生産設備の導入、水リサイクル施設の導入(計2社)
  • ZDHC Wastewater Guideline基準を参考とした排水水質管理
  • 水リスク低減活動の実施

【化学物質】

  • YKK RSL(2024年版)のサプライヤーへの周知および適合調査実施(1,793社)
  • 社会・顧客のニーズに基づく自社基準(YKK RSL(※4))(2025年版)への年次改定実施
  • OEKO-TEX® STANDARD 100認証(44社)およびAFIRM(※5) RSL適合状況のモニタリング試験実施(39社)
  • ZDHC MRSL(※6)適合性評価のため、InCheckレポートの導入展開(17社)
  • YKK RSL(2024年版)の非準拠材料に対する代替材料の選定、材料・製造工程等の開発の推進
  • YKK RSL非準拠対応の全社部門横断組織の結成
  • 土壌汚染の防止のため、化学物質使用拠点において定期点検をルール化し運用を開始

【人権】

  • 全製造拠点で労働時間の週次管理体制を構築
  • YKKグローバルコンプライアンス基準(YGCC)による人権侵害リスクの特定・評価において、対象全拠点でのセルフチェックの実施(51拠点)および第三者機関による実地監査の実施(24拠点)
  1. ※1算定方法見直しによる数値修正
  2. ※2銅産業の責任ある生産と国連SDGsへの貢献を示す国際的枠組み
  3. ※32024年度黒部牧野工場において環境対策用水を使用したため。2025年度は使用しない見込み。
  4. ※4Restricted Substances List (規制物質リスト)
  5. ※5Apparel and Footwear International RSL Management Group (アパレル&フットウエア国際RSL管理グループ)
  6. ※6Manufacturing Restricted Substances List (製造時制限物質リスト)