YKK株式会社 2023 年度入社式について

2023年04月03日

 YKK株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:大谷裕明)は、2023年度入社式を、本日9時より黒部事業所(富山県黒部市)にて実施しました。

<代表取締役社長 大谷裕明からの式辞(要旨)>

 皆さん、まずはご入社おめでとうございます。また、数多い企業の中からYKKを選んでくださり、心より感謝申し上げます。

 皆さんは入社後のこれから、YKK精神「善の巡環」と経営理念「更なるコーポレート・バリューを求めて」について、頻繁に耳にすることになると思います。YKKは1934年に創業しました。𠮷田忠雄創業社長の経営哲学であった「善の巡環」の考え方は、お客様・社員の皆様・社会との共存共栄を通じ、自らも繁栄していこうという理念であり、現在のYKKの企業精神です。また「更なるコーポレート・バリューを求めて」は経営理念として、このYKK精神と一対をなします。経営理念の図には二つの輪が描かれており、その左側にはYKKが企業価値を提供すべきステークホルダーである、お客様・社員の皆様・社会が示されています。社会には広義的に、自然環境やサプライヤーの皆様、事業を営む地域社会なども含まれており、YKKはこれらのステークホルダーに対し、図の右側の輪に描かれた、優れた商品・優れた技術・優れた経営をもって、持続的に企業価値を提供していきます。また事業を進めるうえでは、中心に据えた公正という考え方で判断をして、取り組んでいます。

 YKKでは2000年から4年ごとに中期事業計画を策定しています。今年は2024年までの第6次中期事業計画の3年目となります。つまり2020年に方針を策定した訳ですが、当時はコロナの影響で事業の先行きや、今後の社会の変化が不透明でした。しかし、そのような時こそ、事業を推進するうえでYKKが大切にしなければいけないYKK精神「善の巡環」を再認識しようと考え、方針を策定しました。新常態下であっても、お客様のご要望に応え、課題や問題を解決し、新しいお客様を創造していく。そうした取り組みを進めるうえで、3つのスローガンを掲げました。一つ目は「変化をチャンスに」です。皆さんをはじめとするZ世代と呼ばれる方々が、消費者の中心になっていくにつれ、無駄なものは購入せず、本当に必要なものだけを購入し、大切に使っていくようになります。このような考え方はコロナ禍を経て、世界中でより強く浸透しています。この変化こそ、YKKにとってチャンスだと捉えています。今後はより短納期で、必要な商品だけを消費地にお届けする必要があり、適時・適材・適量のビジネスモデルへの転換が進みます。各ファスナーメーカーが、自国から世界中の各消費地へ輸出するのに対し、YKKは世界72か国・地域で事業を展開しており、地場の地の利を活かせます。供給体制を各地域で確立することで、価格競争力のみならず、開発納期も含めた納期サービスを武器としていける、千載一遇のチャンスだと捉えています。2つ目のスローガンは「社会への貢献」です。これは普遍的なYKKの企業姿勢です。お客様の困りごとの解決や、地域社会への貢献といった企業活動を通じて「YKKは良い会社だね」と思っていただけること。ソーシャルグッドな企業であり続けるうえで、社会からのこうした評価が重要です。3つ目のスローガンは、「より良いものをより安くより速くよりサステナブルに」です。このうち「より良いものをより安く」はYKKの創業当初からの思想です。そこに、市場の変化に合わせて、「より速くよりサステナブルに」を追加しました。サステナビリティを広義的に解釈すれば、全てのステークホルダーとの共存共栄を表すものだと考えます。これこそYKK精神や経営理念に通じるものと思い、サステナビリティを経営の中心にという考え方で、3年前に方針を策定しました。

 中期事業方針では5つの方向性を示しました。変えてはいけないものと、変えなければいけないものを示したわけですが、例えばサステナビリティの強化は、YKK精神や経営理念に基づく取り組みですので、いかに市場が変化し、お客様のご要望が変化しようとも、我々が変えてはいけない不変の方針、方向性であると理解してください。一方で、変えなければいけないものの代表はデジタル強化です。88年に及ぶYKKの歴史において、機械工学の技術は目覚ましい発展を遂げてきたと自負しています。これを有効に活かすデジタル技術は、YKKでは蓄積されていなかった分野です。これは広く世の中から吸収する必要があります。この最終目的は、デジタル技術を使った業務革新です。お客様や社員の皆様あるいは社会のために、YKKがいかに良くなっていくかを実現するツールがデジタル技術です。最終ゴールはお客様の満足、社員の幸せ、社会への貢献をかなえることだと考えてください。また徹底したコスト競争力追求という方向性は、約10年前から日本のみならず、世界の主要国で取り組んできました。やはりコスト競争力がなければ、市場の土俵にはあがれません。またコスト競争力がないからといって、ハイエンドの高付加価値商品だけに取り組んでいては、創業思想に反します。10年前のYKK各事業会社では、市場の要望を満たすコスト実現はできていませんでしたが、今に至っては、他社と比較しても十分なコスト競争力を、身につけてきました。それを更に強化していくにはスピードです。お客様の希望納期で、サステナブルな材料を使い、サステナブルなものづくりでお届けすることが、今後の適時、適材、適量のビジネスモデルにマッチングできる唯一の術であろうと思っています。

 YKKは2023年に入り、コーポレートロゴを新しくしました。2021年度に、YKKの組織を大きく再編したことで、YKKは文字通り、ファスニング事業の会社となりました。これを機に、激しく変化する市場の中で、タグライン「Little Parts. Big Difference.」に込められた意味を世界中の社員一人ひとりがしっかりと理解し、志を一つにして事業を推進するという思いを込め、ロゴを新しくしました。海外を含めた約1万人の社員の皆さんにアンケートをした結果、「サステナビリティ」「スピード」「クオリティ」という3つの言葉が抽出されました。この3つを、大きな変化の中で事業を営んでいくための推進力と位置づけ、全世界の社員の皆さんに、ブランドストーリーとして浸透していこうと考えています。皆さんは社員の中で最初にブランドストーリーを耳にされた方々となります。

 最後に、YKKには「失敗しても成功せよ/信じて任せる」というコアバリューがあり、私も数多くの失敗をして、本日に至っています。私が思う成功者とは、失敗をしない人ではなく、様々な失敗をしたことにより、それを新たな知見に変え、より良い価値を生み出す人だと考えます。多くの種類の失敗は大歓迎ですが、同じ失敗を繰り返しても新たな知見は得られませんので、繰り返してはいけません。「信じて任せる」の裏には、信じて任せることのできる人を育成するという意味もあり、これが企業にとって、一番大切なことです。YKKには全世界に、多様で可能性にあふれた仲間が沢山います。皆さんには入社後、そうした諸先輩とリアルな、またはバーチャルなコミュニケーションを通じて、素晴らしい社会人に成長していただきたいと思います。皆さんをそのように育成することを誓いまして、私の式辞とします。

2023年度YKK入社式 出席人数 113名
(内訳 YKK株式会社 108名、黒部地区関係会社 5名)

≪参考≫

2023年度 新入社員数

YKK株式会社      110名(55名)
YKK AP株式会社   262名(230名)
関係会社        5名(9名)

YKKグループ     377名(294名)

  • ( )は昨年度実績