気候変動、材料資源、水資源、化学物質管理、人権に取り組む持続可能性目標「YKKサステナビリティビジョン2050」を策定 ~ 2050年までに「気候中立」を実現 ~

2020年10月13日

 YKK株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:大谷裕明、以下YKK)は、グローバルに事業活動を展開しているなかで2050年までに「気候中立」(climate neutral、実質排出ゼロ)を達成するための「YKKサステナビリティビジョン2050」を策定し、「コペンハーゲン ファッションサミット(Global Fashion Agenda主催・現地時間10月12日・13日にオンライン開催)」のYKK特設ページに掲載しました。

 「YKKサステナビリティビジョン2050」は、2019年に策定した「YKKグループ環境ビジョン2050」と10項目のSDGs(国連サミットによって採択された持続可能な開発目標)の達成に向けて、5つのテーマで構成されています。

■「YKKサステナビリティビジョン2050」

テーマ1:気候 温室効果ガスの排出の削減、再生可能エネルギーの採用増

 地球規模で起きている気候変動を抑制すべく、世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べ2℃より十分低く保ち、1.5℃に抑える努力を追求するパリ協定の目的を支持し、ファスニング事業における温室効果ガスの削減に取り組みます。

  • ・自社およびサプライチェーンにおけるCO2をはじめとした温室効果ガスの排出量を削減します。
    2030年までにScope1, 2で50%削減(2018年比)
    2030年までにScope3で30%削減(2018年比)
  • ・2050年に向け、温室効果ガス排出ゼロ(カーボンニュートラル)を目指します。
  • ・製造方法と設備の改良、オペレーションと各工程の効率化を追求し、エネルギー使用量を削減します。
  • ・2019年以降、石炭使用設備の新設を廃止します。2030年までに全ての石炭使用設備を廃止します。
  • ・ファスニング事業拠点に再生可能エネルギー発電施設を可能な限り設置します。
  • ・Scope2の排出削減のために、可能な限り外部から再生可能エネルギーを購入します。
    Scope3の排出削減のため、2030年までにファスニング商品の繊維材料を100%持続可能な素材(リサイクル材、自然由来材料 等)に変更します。

※Scope1は自社の直接排出量、Scope2は電力など自社で消費したエネルギー起源の間接排出量、Scope3はサプライチェーン等その他の間接排出量を示します。

テーマ2:資源 持続可能な資源の採用増

 ファスニング事業で製造される商品や使用される梱包材の材料における環境負荷を低減し、持続可能な素材へと移行することで、商品のライフサイクルを通じて発生する廃棄物を削減、石油由来材料の使用を削減、および循環型社会の実現への貢献を目指します。

 これらの目標を達成するため、以下を実施します。

  • ・2030年までに、ファスニング商品の繊維材料を100%持続可能素材(リサイクル材、自然由来材料 等)に変更します。
  • ・2030年までに、ファスニング事業で使用される全てのビニール・プラスチック製梱包材を持続可能な素材や回収・再利用など持続可能な形態に変更します。
  • ・全ての製造拠点において埋め立て、あるいは焼却される廃棄物の排出量を削減します。
  • ・2030年までに、廃棄物の再資源化率を90%まで向上させます。

テーマ3:水 水の利用量の削減、排水管理の強化

 深刻な水資源の枯渇・劣化問題に対し、ファスニング事業において取水量の削減や排水の環境負荷低減等に取り組みます。

  • ・水資源問題が懸念される地域の製造拠点において、水使用の効率化・再利用などの取り組みを通じて、取水量を削減します。
  • ・政府の規制および、ZDHC(有害化学物質排出ゼロ)のような業界基準を基に制定した自社基準に従い、全ての製造拠点において排水管理を徹底します。

テーマ4:化学物質 化学物質の管理と削減

 将来世代にわたり豊かな生活を残すため、ファスニング事業に関わる化学物質による環境への影響・負荷を最小限にとどめます。

  • ・ZDHC(有害化学物質排出ゼロ)のMRSL(製造時制限物質リスト)などの業界基準を基に制定した自社基準(YKK RSL)に従い、商品製造における入口から出口までの化学物質使用を管理し、化学物質の使用削減を更に進めます。
  • ・Standard 100 by OEKO-TEX®のような業界基準を順守し、商品における規制物質の使用を廃止します。
  • ・有害化学物質を削減し排除するような新しい製造方法を開発します。

テーマ5:人権 人権の尊重と、公正で安全な労働環境の維持

 全ての人間の尊厳と権利を尊重するという世界共通の理念を重要視し、多様で持続可能な社会に貢献します。

  • ・多様性を認めた包括的な人権の尊重と労働環境の整備の徹底により、一人ひとりが個性を活かして働ける安心安全な職場環境をサプライチェーン全体で形成し、健康で幸せに満ちた生活を支援します。
  • ・YKK精神「善の巡環」とISO26000に基づいたYGCC (YKK Global Criteria of Compliance)監査を全YKKグループの製造拠点を中心に実施し、第三者機関による定期的な監査も実施することで、透明性を維持しつつ持続可能な活動への更なる改善を行います。

■YKKが重点を置く10項目のSDGs(持続可能な開発目標)

 「YKKサステナビリティビジョン2050」の5つのテーマを社会のニーズに合致させるため、SDGs(国連の持続可能な開発目標)に対応させました。今後17項目すべてのSDGsに取り組んでいく計画ですが、YKKが影響を与える可能性が最も大きいものとして以下10項目としました。

  • ・目標5 ジェンダー平等を実現しよう
  • ・目標6 安全な水とトイレを世界中に
  • ・目標7 エネルギーをみんなに、そしてクリーンに
  • ・目標8 働きがいも経済成長も
  • ・目標10 人や国の不平等をなくそう
  • ・目標12 つくる責任つかう責任
  • ・目標13 気候変動に具体的な対策を
  • ・目標14 海の豊かさを守ろう
  • ・目標15 陸の豊かさも守ろう
  • ・目標16 平和と公正をすべての人に
SUSTAINABLE DEVELOPMENT GOALS

■YKK株式会社 代表取締役社長 大谷裕明 コメント

 YKKは、本業を通じた持続可能な社会の構築を常に追求し続けております。こうした企業活動のすべての根幹にあるのがYKK創業者 吉田忠雄の企業精神「善の巡環」です。「他人の利益を図らずして自らの繁栄はない」という思想は社会や関連業界と共に栄え続けようとするYKKグループの企業精神を鮮明に表しており、サステナビリティに通ずる考え方であると捉えています。YKKは「善の巡環」のもと、事業・商品を通じてサステナビリティの本質に向き合い、ソーシャルグッドな企業であり続けるためにチャレンジを続けてまいります。

■環境に配慮した取り組み・商品開発

 YKKグループは、1994年に「YKKグループ環境宣言」を制定し、事業活動のすべての領域で環境活動に取り組んでいます。

  • ・1994年 「NATULONナチュロン®」:再生PETを主材料としたファスナー(ファスナー10,000本につき約3,600本のペットボトルをリサイクルできる)
  • ・2016年 無水染色技術「ECO-DYEエコ ダイ®」:染色工程(準備工程、洗浄工程、分離・回収工程)において水をほとんど使用せずに、商品の品質、外見ともに従来と同レベルの染色技術を開発
  • ・2019年 「GreenRiseグリーンライズ®」:主材料を化石燃料由来から植物由来ポリエステルに置き換え、化石燃料使用量の削減・製品サイクル上のCO2排出量を減少したファスナー
  • ・2020年 「NATULONナチュロン® Ocean オーシャン Sourcedソースト™」:海洋プラスチックごみを主材料としたファスナー

環境配慮型商品は、YKK Fastening Global Site (英語・中国語)にて紹介しています。