北陸地域に女性技術者・研究者が活躍する環境を。

事業の概要

YKKでは、性別・国籍、障がいなどを意識せずに、それぞれの力・持ち味を発揮できる風土を目指したダイバーシティ推進活動を行っています。そのなかでも、国立大学法人金沢大学、公立大学法人富山県立大学の両大学と連携し、女性技術者・研究者の育成を推進する取り組みが、文部科学省 平成29年度 科学技術人材育成費補助事業「ダイバーシティ研究環境実現イニシアティブ(牽引型)」の活動です。ものづくりにおける女性リーダー育成を促進し、北陸地域にダイバーシティ研究環境を実現する取り組みを産学が一体となって推進するもので、2016年には国立大学法人金沢大学と、2017年には公立大学法人富山県立大学も加わり、大学との連携講座(共同研究指導)やシンポジウムの開催などの活動が動き出しています。より高い目標に向かって自らを磨き続けられる環境づくりを行うことで、北陸が全国のモデルになるように産学が一体となって挑戦していきます。

連携講座とは

YKKの技術者と
金沢大学の研究者による、
共同研究指導がスタート。

YKK専門役員の喜多和彦とYKK工機技術本部の見角裕子

「連携講座」とは、民間の研究所や企業と大学や大学院が協定を結び、共同で研究指導を行うこと。本事業では、YKKと金沢大学が「大学院自然科学研究科連携講座」として、「一貫生産基盤技術創成講座」の研究指導を行っています。YKK 専門役員の喜多和彦が特任教授、YKK 工機技術本部の見角裕子が特任准教授を務めています。もともと連携講座への参加は男女を問わないものですが、女性技術者・研究者の技術力・研究力の向上、それを通じたリーダー育成につながるよう、充実した内容にしていきます。

※一貫生産基盤技術とは
一貫生産のメリットである、顧客要望対応、品質向上、コストダウン、リードタイム短縮を実現するための商品バリューチェーンを軸とした、材料、加工、設備開発、製造、分析、解析、システム化、制御等の一連の要素技術

  • YKKが大事にする「森林経営」は
    ダイバーシティそのもの。
    女性技術者の存在は重要です。

    喜多和彦 YKK 専門役員 工機技術本部 金属材料担当
    金沢大学 大学院 自然科学研究科
    一貫生産基盤技術創成講座 特任教授

    喜多和彦Kazuhiko Kita

    森林の木々のようにそれぞれの個性を活かして、自律的に成長する活力あふれた組織であろうというのが、YKKが創業期から大事にしてきた組織のあり方。これはダイバーシティの考え方そのものだと考えています。これまでも年齢・性別・学歴・国籍にかかわらず、能力を十分に発揮できる職場づくりを行ってきました。そのなかでも、より推進する必要のある女性技術者・研究者の育成を行うのが、「ダイバーシティ研究環境実現イニシアティブ(牽引型)」の活動です。技術領域において女性の活躍はまだ多いとは言えませんが、その分、強い意志を持って仕事や研究を行っている人は多く、意欲的です。女性技術者・研究者の活躍を推し進めることは、男性を含む組織全体にとっても良いことだと考えています。大学と連携した研究は、私たちにとって経験に基づいて蓄えてきた技術を、原理原則の裏付けによって補強することができ、とても有効です。大学にとっても研究内容を社会に「実装」していく場となり、両者にとって有意義なもの。この挑戦を成果に繋げていきたいと考えています。

  • 性別を問わず、
    個々人の力が最大限に
    発揮できる環境へ。

    見角裕子 YKK 工機技術本部 シニアエンジニア
    金沢大学 大学院 自然科学研究科
    一貫生産基盤技術創成講座 特任准教授

    見角裕子Hiroko Mikado

    これまでに、女性の活躍推進を目指す社内プロジェクトの一員になったり、仕事と子育てを両立しながら博士号取得したりと、チャレンジをする機会を多くいただいてきました。高校や大学などで自分の仕事の紹介をし、ものづくりの仕事の魅力や、技術者としての姿勢や考え方を伝える機会もありました。最近では、YKKの社内にも、放っておいてもどんどん活躍を始める向上心のある女性が増えてきていると感じます。以前はミーティングのなかで女性は私ひとりということも多かったですが、今では女性が参加する割合も増えています。男性の上司や同僚から、「ある事象に対して普通とは逆側からのアプローチをする」と驚かれることがあります。それが女性視点によるものなのか、私の個性によるものなのかはわかりませんが、多様な発想が組織の中にあることは、新しいアウトプットを生み出すことに繋がります。女性技術者・研究者の活躍が特別視されるのではなく、より当たり前のことになり、性別を問わず、個々人の力が最大限に発揮できるようになればよいと考えています。

※この記事の内容は取材当時のものです。所属名などは現在と異なる可能性があります。