アパレル部門

グランプリ・Circular Design特別賞作品名:Re Tree

作者
今野 奏 KONNO KANADE
学校名
文化服装学院
Instagram
@kanade514
使用アイテム
NATULON Plus® コイルファスナー・PERMEX® (Item Code: EX ソケット)
作品解説
木のように長く生き、変化を受け入れながら育つ服。自然と共に歩む仕組みをまとい、消費に頼らないくらしへ導く。ファスナーでパーツごとに取り外し可能にし、服を部分的に修復、交換しながら長くつかえる。ニットとファスナーをかけ合わせ、木の生命を感じさせるうねを表現。
受賞コメント
気持ちを込めて作った作品だったので、ダブル受賞できたことが本当に嬉しいです。ここまで支えてくれた先生や友達には、感謝してもしきれません。テキスタイル作りを一から始めて、試行錯誤を重ねながら完成させたこの一着を審査員の皆様に認めていただけたことが、とてもありがたく励みになりました。今回はサーキュラーを意識し、「長く着られる服」というテーマから、「長く大切な存在」である木に着目しました。コンピューターニットで生地を作り、膨らみを持たせながら木の立体感を表現したり、ひび割れのようなフォルムを作ったりできたところに自信があります。コンピューターニットの先生が一緒に考えてくださって、自分も負けじとアイデアを重ねながら、細部まで詰めた時間が本当に楽しかったです。ニットを選んだのは、布帛と違って裁断による端材が出ないから。サステイナブルなアプローチを大切にしたかったので、その点も大きな決め手になりました。最終的には25個のニットパーツを作り、それをNATULON Plus® コイルファスナーでつなぎ合わせています。ファスナーテープの色も不規則にして、自然のランダムさを表しました。ファスナーとニットを掛け合わせて、木のうねを出すのは大変でしたが、特に気に入っているポイントです。ファスナーの開閉で肌を見せたり、取り外して袖に変化を出したりと、いろいろな着方を楽しめるようにしています。分解して修理したい場合は、壊れたり汚れたりしているパーツだけを取り替えられるようにもしました。長く着られる服というコンセプトに沿うよう、細部にまで考え抜きました。今回の受賞をしっかり次につなげて、デザイナーとして成長していきたいです。誰でも着られて、でもテンションが上がる“ちょっと一癖ある服”をこれからも作っていきたいと思います。

取材協力 繊研新聞社

優秀賞作品名:YKK CIRCUIT

作者
内藤 琢斗 NAITO TAKUTO
学校名
名古屋モード学園
Instagram
@__NNNTTA__
使用アイテム
NATULON Plus® コイルファスナー・POWERHOOK®・マグネット付きバックル(Item Code: LB-MX)・タックボタン・PERMEX® (Item Code: EX ソケット)
作品解説
サーキット場を想起させる立体的なシルエットを、スライダーによるファスナーの連結で作り出したり、POWERHOOK® やスライダーを用いてチェッカーフラッグやフォーミュラーカー、サーキットのビジュアル要素を取り入れた衣服の提案。
受賞コメント
賞は狙っていました。最初はまったく別のデザインを考えていたのですが、トワルを組んでいくうちに突然「サーキットみたいだ」とひらめきが降りてきて、そこから一気に作品像が固まっていきました。デザインコンセプトから形まで、全部が一本の線でつながった瞬間があって、そのときに手応えを感じました。シルエットも、車が動く仕組みも、思いつく限りのすべてをその方向に振り切りました。気づいたら夢中で突き進んでいた感じです。サーキット場のカーブをどう服で表現するかが、いちばんこだわったところです。パーツごとにファスナーをつなぎ合わせて立体的なラインを作るのは、想像以上に難しくて、何度も工夫を重ねました。トワルチェックは10回以上、1カ月ほどほぼそれだけにかかりきりでした。大変でしたが、そのぶん車(スライダー)の動きとシルエットが連動した瞬間が気持ちよかったです。素材や色も細かく考えました。生地に重さがある分、ファスナーは軽くしたかったし、スライダーの色もピンクなど幅広く使えるのが楽しかったです。グリーンのテキスタイルは、サーキットを囲む森や緑のイメージ。アロハシャツにある車の柄もヒントになりました。車のパーツはレーザーカッターで作って、スライダーにはめ込んでいます。春からはパタンナーとして働きます。デザインだけ、パターンだけではなく、服づくりを全体で考えられるようになりたくて、まずこの道を選びました。これからも仕事をしながら、コンテストやブランド作りなど、いろいろな挑戦を続けていきたいです。

取材協力 繊研新聞社

審査員特別賞作品名:POLYGON

作者
石原 実紅 ISHIHARA MIKU
学校名
ドレスメーカー学院
Instagram
@miku__o0o
使用アイテム
BELNAP® プロング
作品解説
同じパーツをスナップ&ボタンでつなぎ合わせて構築した造形物。「POLYGON」というテーマのもと、組み合わせによっていくつもの形に“何角形”にも変化する服を目指して製作。ランプシェードの構造をヒントに、パーツの連結でスカートや袖の形を自由に変形可能。分解できる構造はメンテナンスや再利用を容易にし、長く楽しめる一着となっている。
受賞コメント
賞を取れると思っていなかったので本当にうれしいです。コンテストで受賞するのも今回が初めてで、名前を呼ばれた瞬間は頭が真っ白になりました。作品のテーマは「POLYGON」。多角形を意味する言葉なのですが、「パーツの組み合わせしだいで、いくつもの形に変化する服をつくりたい」と思ったところから出発しました。同じパーツをスナップボタンでつなぎ合わせて構築していくのが基本の構造で、組み方によってスカートや袖の形を変えることができ、“何角形にもなる服”を目指しました。分解できる構造なので、修理や再利用もしやすく、長く楽しめる一着になればと思ってデザインしました。こだわったのは、パーツごとに付けるスナップボタンの位置です。1パーツにつき16個付けていて、どの角度で留めてもきれいなラインが出るように、位置決めにはすごく悩みました。パーツをひとつずつ差し込んで組み立てていく作業も大変で、シルエットをどう成立させるかという点は最後まで悩みました。素材選びも苦労しましたが、軽くてハリがあって、でも柔らかさもあるという理想の質感を探し、最終的にはソフトボード素材に出会い、納得できる仕上がりに持っていくことができました。ランプシェードの構造もヒントになっていて、その連結感や変形の自由度を意識して取り入れました。今回の受賞を励みに、これからは着た人が自信を持てるような服をつくるデザイナーを目指していきたいです。自分がデザインした服を、いつか街中でふつうに着ている人を見つけることが夢です。

取材協力 繊研新聞社

YKK特別賞作品名:Shelter-wear

作者
YOON MYAT SU LIN
学校名
エスモード東京校
Instagram
@yoon_myat_su_lin
使用アイテム
METALUXE® スタンダードカラーエレメント・POWERHOOK®・マグネット付きバックル(Item Code: LB-MX)・BELNAP® プロング・PERMEX® (Item Code:EX ソケット)・SOFIX®
作品解説
「シェルターウェア」というコンセプトに基づいてデザインした、緊急時やアウトドア環境など様々な状況に適応できる機能的な衣服。パファーコートをミリタリーギアとして再解釈し、単なる衣服から着用可能なシェルターへと変容。取り外し可能なバッグ型スリーブを備えたモジュール構造、テントへと組み立て可能な隠しパネル、取り外し可能なパッドを採用。これにより衣服は着用者のニーズに応じて変形する。都市生活から自然環境まで、幅広い状況に対応する次世代アウターウェアとして設計した。
受賞コメント
2年連続で受賞できて嬉しいです。去年よりももっと気持ちを入れて取り組んだので、結果につながったことで報われました。今回の作品は、出身であるミャンマーで大きな地震があったことがインスピレーションの源で、「いつ何が起きても安心できるような住める服を作りたい」と思って作りました。テントの代わりになる服というイメージが最初にあって、そこから「シェルターウェア」という発想につながりました。テントはウエストのポケットに収納できるようにしていて、袖は取り外すとそれぞれバックパックになる構造です。緊急時やアウトドア、困難な状況でも、この服を身に着けていれば大丈夫――そんな実用性と心強さを備えた一着を目指しました。制作は正直とても難しかったです。テントと服をどう組み合わせて、ひとつのフォルムとして成立させるか。テントの構造も深く考えたことがなかったので、衣服としての着やすさと、シェルターとしての機能性の両立はかなり悩みました。隠しパネルでテントに組み立てられるようにしたり、取り外しできるパッドを入れたり、細部までこだわっています。使ったのはMETALUXE® スタンダードカラーです。頑丈で重厚感があって、とてもイメージに合っていました。テキスタイルはキルティングに見えるように、ステッチの代わりにスナップボタンを均一に配置して表現しました。これから日本で働きますが、10年後くらいには自分のブランドを立ち上げたいです。ミャンマーで自分の服を販売してみたいという気持ちもあります。

取材協力 繊研新聞社

ファッショングッズ部門

グランプリ作品名:ATTACHMENT

作者
鳥居 遼太郎 TORII RYOTARO
学校名
文化服装学院
Instagram
@torii1016
使用アイテム
EXCELLA®・タックボタン
作品解説
時にビジュアル以上の価値がある物が持つ世界。たとえ自分の身体に合わなくとも身につけたい、背景を纏う執着心(attachment)から着想し、より身体への適合にシビアな靴で表現した。
受賞コメント
名誉な賞をいただけて光栄です。構築的なデザインで、すごく作るのが大変でした。イメージしたのは、サイズが合わない古い靴を無理やり履く執着心。サイズが合わなくても、履きたいという気持ちです。コンセプトにした「ATTACHMENT」には、心理学において人や物に対する情緒的な愛着や結び付き、執着心という意味があります。ファスナーをサイズ調整ができるベルト代わりに使い、サイズが合わなくても履ける靴にしました。ポイントはファスナーに付けたタックボタンの使い方です。このパーツにどのような機能・役割を持たせるか、どんな使い方が実用的で面白いか、手を動かしながら考えました。私は固定するものとして使いましたが、他にもいろいろな使い方ができると思っています。使い古された様を表現したユーズド加工にもかなり時間をかけました。この経験を生かし、将来はデザイナーとして活躍できたら嬉しいです。

取材協力 繊研新聞社

優秀賞作品名:Torn Bag

作者
磯貝 祐太 ISOGAI YUTA
学校名
目白ファッション&アートカレッジ
使用アイテム
METALUXE® スタンダードカラーエレメント・マグネット付きバックル(Item Code: LB-MX)
作品解説
バッグが破れてしまい中の物が落下している様子を表現。その落下しているミニバッグなどのアイテムをその日の気分やファッションに合わせ自由に付け替えられるところも魅力。1 つのバッグで色々な表情を見せることができる。
受賞コメント
たくさんの素晴らしい作品がある中で、このように選出していただき、驚きとともに嬉しい気持ちです。最もこだわったのは、バッグの破れているところ。荒々しさを出しつつ、そうなりすぎないようにバランスを意識して作りました。ボディーに使用したレザーもきれいすぎず、粗野な風合いが出すぎない、スムース加工をした牛革にしました。また、破れているけれど、きちんと中に物が入るようにしたかったので、どのようにしたら実現できるか、先生に相談しながら作りました。実は底板が付いています。実用性にも配慮したバッグになるよう心掛けました。破れたところに付けたミニバッグは、どんな形、大きさのものが合うか、たくさん調べました。装着部分はマグネット付きバックル(LB-MX)を使用しています。付け外しが簡単で、頑丈なところが気に入っています。将来はデザイナーになるのが夢。バッグやシューズのデザインをメインに学んでいるので、その分野のデザイナーになれたらいいなと思います。

取材協力 繊研新聞社

審査員特別賞作品名:voronoi

作者
増田 凌 MASUDA RYO
学校名
東京大学大学院
Instagram
@massuu_02
使用アイテム
EXCELLA®・METALUXE® スタンダードカラーエレメント
作品解説
ファスナーのループを連結して作製されたバッグ。布やテープを排したシンプルなビジュアルによって、バッグの幾何学的な美しさと、それを構成するファスナー自身の美しさ、さらには数理的な設計手法の美しさを最大限表現した。
受賞コメント
受賞することができて、とても嬉しいです。普段はコンピューターで物を設計する勉強をしています。「3Dプリンターでファスナーを作ったら面白いのでは?」と考えたことがきっかけで、本アワードについて知りました。テクノロジーの力でどのようにすれば面白いものが作れるか、それを大事にした作品です。コンピューターで設計し、ファスナーを輪にして形にしました。一つのバッグにつき輪を100個くらい使ったのですが、それで分岐を作り、組み合わせるのがとても大変でした。重視したのは素材選びです。きれいな形を保つ堅さがありながら、ファスナー自身のきらきらとした金属の部分がより際立つ歯の形をよく観察して選びました。しかし、僕のこのファスナーは開閉することを想定していない。ファスナーとしての機能を十分に使えていると見てもらえるかが不安でした。でも、このバッグのハリはファスナーだからこそ。取り外し可能や変形できるといったアイデアが多い中で、逆に違ったことができて、評価いただけたのは良かったです。今後も服に限らず、新しくて面白いもの、技術とデザインで人を楽しませる、そんな物作りを続けていきたいです。

取材協力 繊研新聞社

YKK特別賞作品名:backpacker

作者
萩原 奈音 HAGIHARA NAO
学校名
上田安子服飾専門学校
Instagram
@nao_hagihara
使用アイテム
AquaGuard® NATULON® コイルファスナー・POWERHOOK®・片手操作バックル(Item Code: IB-KTH)
作品解説
バッグとして自転車に装着し、展開するとアウターとして着用可能。可変性と携帯性を備え、都市の移動と気候変化に対応する機能服。再生素材を用い環境にも配慮。
受賞コメント
まさか自分の名前を呼んでいただけるとは思っていませんでした。まずは支えてくれた人に感謝の気持ちでいっぱいです。これまで作ってきたものはどれも衣装寄りで、着用する人のことを考えた物作りができていませんでした。そこで、今回は実用性を意識して作った作品です。中学、高校の頃、自転車通学だったのですが、雨がとても嫌いでした。レインウェアは大きいものが多く、持ち歩くのが困難だったからです。最初から自転車に付けられてバッグとして機能するけれど、雨が降ればアウターにもなるのが私のベスト。それを形にしたいと思いました。こだわったのは、バッグの状態にしたときの大きさ、軽さ。そして、バッグの機能としての収納性です。折りたたんだアウターでバッグの中が埋め尽くされないように配慮しました。アウターのデザインは、ポケットを充実したり、裏地をメッシュにしたり、些細な部分を工夫しています。ファスニング商品は、防水のAquaGuard® NATULON® コイルファスナーや片手操作バックル (IB-KTH)など、アウトドア性の高いものを使用しました。もう一度同じものを作って、自分自身でも着たいです。

取材協力 繊研新聞社
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