アパレル部門

グランプリ作品名:「個」としての美しさ

作者
岩野 蓮祐 IWANO RENYU
学校名
大阪文化服装学院
Instagram
@swnh_official
使用アイテム
EXCELLA®、AquaGuard® NATULON® コイルファスナー、No.10太務歯メタルファスナー、POWERHOOK®、PERMEX® (Item Code: EXソケット)
作品解説
「個」としての美しさをテーマに、これまで限定的なとらえ方(機能として意識)をされていたパーツを、美しい「個」として再認識させるよう、これまでには無かった機能性を持たせることでそれを表現した。
受賞コメント
自信はあったものの、他の作品も素晴らしかったのでまさかグランプリとは驚きました。「個としての美しさ」をテーマに、面ファスナー POWERHOOK® をテキスタイルに落とし込みました。その理由は、面ファスナーの上にかぶせるフック部分をオス、下のループ部分をメスという呼び方に個人的に違和感があり、並列の関係にしたいと思ったからです。1対1の関係になるように、面ファスナーに切り込みを入れてパズルのように重ねたのが出発点。一人ひとりそれぞれに名前があって、人生があって、思いやストーリーがあり、毎日踏ん張って立っているので、「男・女」という一括りではなく、それをフラットにして、一歩先に進んでいきたいといった意味も作品に込めました。ファスナーについても同様の考え方で、「開閉」に限定するのではなく、ファスナー自体をどうかっこよく見せられるかに主眼を置き、機能的な美しさにフォーカスしてギャザーを表現しました。全体のデザイン面では、とにかく着ておしゃれな服にしたいという気持ちがありました。男性のスカートを衣装として確立しているスコットランドのキルトに魅力を感じ、インスピレーションにしました。パーツの切り込みがとにかく大変で、そこは“友達パワー”で何とか乗り切りました。今回グランプリをいただけたことで、自分の物の考え方やデザインをこのまま続けてもいいんだと自信になったのと同時に、パターンや縫製の細かい部分まで目を配るYKKの凄みも感じます。もっと学んで経験を積んで、いつか自分のブランドを立ち上げるのが目標です。

取材協力 繊研新聞社

優秀賞作品名:Adapta Raincoat

作者
YOON MYAT SU LIN
学校名
エスモード東京校
Instagram
@yoon_myat_su_lin
使用アイテム
AquaGuard® NATULON® コイルファスナー、POWERHOOK®、PLANCER®、SOFIX®、SOFIX® カットテープ
作品解説
スタイル、汎用性、機能性を一つのデザインにまとめた革新的なレインコート。その目的は、スタイルの欠如や退屈なシルエット、脚を完全に覆うことができないといった従来のレインコートに共通する問題を解決することにある。Adapta Raincoatは、シルエットの変更、袖と裾の取り外し、革新的なレッグラップを備え、これらの問題に対する実用的でファッショナブルな解決策を提供する。
受賞コメント
受賞できてすごく嬉しいです。ボリューム感を出しながら、動いたときに美しいシルエットをどう出すかに注力しました。トワルチェックを何度も繰り返したり、友達に着てもらって動きを確認したりという作業に時間をかけたので、そこが審査員の方に評価されて安心しました。様々な種類があるYKKのファスナーのなかで、最も特徴があると感じたのが AquaGuard® ファスナーです。それを生かしてデザインしたいと思ったのが作品の始まりです。20センチ以上のファスナーを一度に縫うのは初めての経験だったので、そこにとても苦労しました。普段目にするレインコートは平凡なものが多いなと感じていたので、いかに面白くできるかを考えて、姿を変えたり、虹を表現することで着ても見ても楽しいデザインを心掛けました。
これまでファスナーを起点にした服作りをしたことがなかったのでとても勉強になり、自分のクリエイティブの幅も広がるいい機会を頂きました。将来は楽しい普段着を届けられるデザイナーになりたいです。

取材協力 繊研新聞社

審査員特別賞作品名:LAUNDRY

作者
白草 於登巴 SHIRAKUSA OTOWA
学校名
大阪文化服装学院
Instagram
@otowa_shirakusa
使用アイテム
QuickFree® click-TRAK® Magnetic、AquaGuard® NATULON® コイルファスナー、回転バックル (Item Code: IB-SFP1)、PLANCER®
作品解説
「洗濯」って面倒くさい。だけど服を洗濯することで新鮮な気持ちになれる。偽りという汚れを洗い流して新たな自分に生まれ変わろう。
受賞コメント
ディテール部分も突き詰めて美しく見えるように工夫しました。「LAUNDRY」のテーマは、ダブルラッセルの生地にヒントを得ました。洗濯ネットで使われているのを見て、洗濯機のような造形や洗濯表示のプリントを自分らしく表現しようと決めました。色は洗濯のフレッシュな気持ちを表すブルーをベースに、赤をアクセントにしてポップなものにしました。ぱっと見たときのインパクトとシルエットの美しさをどう両立するか、そのバランスを探ることが難しく、時間との戦いでした。作品としては自分のカラーを出せた半面、遊び心を際立たせるためにもファスナーの機能をもっと追求すべきだったと課題も感じています。自分のブランドを持つという夢よりも、今はとにかく服作りをするうえで着た人をワクワクさせたり、楽しんでもらえるような人になりたいという思いが強くなりました。

取材協力 繊研新聞社

審査員特別賞作品名:MT or AT

作者
田中 愛友 TANAKA AYU
学校名
名古屋ファッション専門学校
Instagram
@mrllo_ayu
使用アイテム
No.10太務歯コイルファスナー、タックボタン
作品解説
人間の手によって生み出された自動的な現代。手動で手作りしている日々が、全自動になる未来もそう遠くはない。操作する側からされる側になる未来に対する憤り、一見した限りではわからない手動で起こる自動をファスナーとタックボタンで表現した。
受賞コメント
作品が完成した時は自分頑張ったなと思いましたが、他の作品のレベルが高く、自信を無くしかけていたので、受賞できてほっとしました。こだわった点は、ファスナーとタックボタンを組み合わせた「手動で起こる自動」です。片方のファスナーを手で動かすともう片方のファスナーが自動で動くというもので、最初は「無謀なアイデアかな」と思っていたのですが、それが成功して良かったです。「自動で開閉するファスナーがあったら」という想像からスタートしましたが、ファッション業界で活用が進んでいるAIについて考えたときに、人の手や力があってこそ新しい可能性があるということを伝えたいと思い、「手動と自動」に着目しました。ただ、ファスナーが自動で開閉することは物理学的に成立しても、洋服の布に置き換えるとなかなかうまく実現しないという苦労がありました。パターンの変更や、ファスナーやタックボタンの角度や位置、ひもの長さを調整しながら、試行錯誤を繰り返すことで実現にこぎつけました。タックボタンを滑車に見立てて取り入れたのがポイントにもなっています。ただパーツの新しい使い方を提案するだけでなく、洋服のデザインとしても美しく、パーツも映えるようなシルエットやパターンを作ることも意識しました。審査員の方にいただいたアドバイスも生かしながら、いつかたくさんの人の手に取ってもらい、生活に変化や気づきをもたらせるデザイナーになりたいです。

取材協力 繊研新聞社

YKK特別賞作品名:カメレオン

作者
呉 耀祖 WU YAOZU
学校名
文化ファッション大学院大学
Instagram
@youso478
使用アイテム
QuickFree® click-TRAK® Magnetic、No.10太務歯ビスロン® ファスナー、アイレットワッシャー
作品解説
カメレオンの色変化と形態から着想を得たこのデザインは、現代のストレスで感情や自然への感受性を失った人々に向けたものである。リュックと袖のシルエットはカメレオンの背中を、丸いポケットは尾を模倣。服装のスタイルは多様で、個人の好みに応じて自由に組み合わせることができ、異なる季節やシチュエーションに適応する。最新の可変色3Dプリント技術を活用し、実用性と独創性を両立させた。
受賞コメント
今回2回目のチャレンジで、受賞できてとても嬉しいです。見る角度によって色が変わる3Dプリントや、パンツがジャケットになったり、ジャケットがバッグになったり、ポケットを取り外すとそれがまたポーチになったりと、ファスナーの組み合わせで何通りもの使い方ができる服を作りました。一方でデザイン性の高さも意識して、機能と両立したスポーツウェアにこだわりました。70~80個のパーツを使用しているので、特に縫製に苦労しました。将来はデザイナーとして自分のブランドに挑戦することと、日本で学んだことを出身の中国に持ち帰り、大学の先生として伝えていくことが夢です。デジタルプリントなどテキスタイルデザインなどにも取り組み、次の可能性を探っていけるような人になりたいです。

取材協力 繊研新聞社

ファッショングッズ部門

グランプリ作品名:Protection

作者
LO HSIANG HUA
学校名
文化服装学院
使用アイテム
AquaGuard® NATULON® コイルファスナー、回転バックル (Item Code: IB-SFP1)
作品解説
生活の中で、みんなと分かち合いたい美しくて大切ものがたくさんある。しかし、それらを大切に守りながら、触られたり壊されたりしたくないという気持ちをモチーフにした。バッグやショーケースだけでなく、「大切なものを見せながら、守り続けることを誓います。」というこだわりも込めている。
受賞コメント
グランプリを受賞できたことに対し、協力してくださった先生や審査員の皆様、そして両親に感謝をささげたいと思います。周囲の声を気にせず、やりたいことに没頭して製作できたので自信はありましたが、まさかグランプリを獲得できるとまでは思っていなかったので、大きな評価を頂けたことに自身の成長を感じました。私の宝物の「クマのぬいぐるみ」、親の持ち物である「水晶」、そして「アイスクリーム」の3種類の「大切な物」を大事に保管し、持ち運ぶにはどのような形にするべきか、というアプローチで制作を進めました。中心のボール部分の縫製や、素材選びには苦労しましたが「大切なものを守る」というテーマを実現した作品になったと思います。透明部分にアクリルを使用しているため、パーツ部分にアクリルに似た質感の本革を使っている点もこだわりです。中身が浮いている様に見せるのに、YKKの回転バックルが役に立ちました。ファスニング部分には AquaGuard® NATULON®コイルファスナーを使い、アクリル素材との親和性を高めました。今回の受賞で物作りへのモチベーションの更なる高まりを感じたので、今後も、遊び心のある大人の方に向けたバッグを作れたらと思います。

取材協力 繊研新聞社

優秀賞作品名:MA-1 ニット帽

作者
寺尾 佳樹 TERAO YOSHIKI
学校名
大阪モード学園
Instagram
@y_s_k_44
使用アイテム
EXCELLA®
作品解説
MA-1をデザインテーマとしたニット帽。袖を首に巻くことでマフラーとしても、ミトングローブとなっている袖の先を手袋としても利用できるエッジの効いたデザインを提案する。
受賞コメント
「MA-1をアパレルグッズにする」というアイデアは1年前から温めていました。今回のコンペが「ファスナーを使う意味」を問われるものだったので、この機会にアイデアを形にしてみたいと思い、制作を決意しました。新たなリアルクローズを作るという点をテーマにおいて作ったので、これが評価されるかどうかという点は一旦置いたのですが、思い入れのある作品なので受賞は単純に嬉しかったです。MA-1のグッズ化にあたって、「着る」とは別のアプローチで、「ありそうでないデザイン」の作品にしたいと思いました。制作時は余分なものを足さず、MA-1の中にある要素だけでグッズ化した点がこだわりです。例えば、MA-1の裾に使われているリブをニット帽の形にした点や、袖をモチーフにした部分の先に穴をあけて、物をつかめるようにした点などです。今回使用したYKKのファスナー EXCELLA® も「ありそうでないデザイン」の実現に役立ちました。将来は、若い方に発信力を持ったファッションデザイナーになれたらと思います。自分の作品が、誰かの人生を少し面白くする、そんなきっかけを作れるような作品を作っていきたいです。

取材協力 繊研新聞社

審査員特別賞作品名:HAND FAN bag

作者
齋藤 瑛莉花 SAITO ERIKA
学校名
国際トータルファッション専門学校
使用アイテム
EXCELLA®
作品解説
洋風の扇子(hand fan)の構造をモチーフにした鞄。三角形のパーツを24枚重ねることで、手のひらサイズから円形に広げて使用することができる。美しく広がる扇子の優美さや、形の変化の面白さに着目し、楽しく美しく使える鞄を目指した。
受賞コメント
毎年高いレベルの作品が集まるコンペにおいて、賞をいただけたことに驚きを感じています。目標としていた受賞が叶い、とても嬉しいです。今回の作品で最もこだわった点については、「スムーズな開閉と動きの美しさ」です。制作の過程では特に布製品を開いたり畳んだりするための構造設計に苦労しました。アイデアをメモに書き出し、紙で何度も試作を重ねた結果、ようやく形を保てる構造を実現できました。作品に使用したファスナーにはYKKの EXCELLA® を採用しました。しなやかな動きに対応できる素材を選び、鞄のフタとしての役割と形を保つ役割を持たせました。今回の受賞で得た交流とモチベーションを原動力に、今後も制作を続けたいです。将来は遊び心のあるデザインを届けられるデザイナーになれたらと思います。

取材協力 繊研新聞社

YKK特別賞作品名:二面性

作者
村上 諒天 MURAKAMI RYOMA
学校名
エスモード東京校
Instagram
@ryouten_7
使用アイテム
EXCELLA®、No.10太務歯メタルファスナー、POWERHOOK®、PERMEX® (Item Code: EXソケット)
作品解説
実用性を兼ね備えたコート&バッグ。実際に使用することを考えてデザインした。コートでは、ファスナーとウエストベルトによって複数のシルエットに変化する。バッグにした際には、小旅行などに行ける程の物量が入るようデザイン。一番の懸念点であった重さの部分は、生地を研究して軽さと耐久度を兼ね備えた作品にした。
受賞コメント
受賞にあたって、多くの方の助力を受けたので感謝を伝えたいです。右も左も分からない中での制作は大変でしたが、やり切った点は自分を褒めたいと思いました。服もバッグもどちらも初めて作るので、他の人と競う為に「実用性」をテーマに挑みました。普通の生地を使ってしまうと、コートやバッグにしたときに重たくなってしまうので、特殊な和紙素材を採用しました。バッグの持ち手部分には、POWERHOOK®とPERMEX®を同時に使用することで強度を高めました。裁断が出品の4日前というスケジュール感でしたが、多くの方の協力を得て何とか形にしました。その方々への恩返しの意味でも、更なる飛躍をお見せできればと思います。この受賞をスタート地点だと捉え、夢である「子供心を忘れないブランド」の実現に向けて今後も取り組みたいです。

取材協力 繊研新聞社
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