「低炭素アルミニウム」をファスナー用材料に採用~「YKKサステナビリティビジョン2050」のもと、温室効果ガスの排出削減を目指す~

2024年03月27日

 YKK株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:大谷裕明、以下YKK)は、従来のアルミ合金ファスナーを、「低炭素アルミニウム」(※)を使用した環境配慮型ファスナーへ段階的に切替えることを目指し、「低炭素アルミニウム」を使用した合金線の購入を開始することをご報告します。
 YKKは、アルミニウム材料を製造する住友電気工業株式会社(本社:大阪市中央区、社長:井上治)と富山住友電工株式会社(本社:富山県射水市、代表取締役社長:山本康夫)との三社で「低炭素アルミニウムの利用に関する契約」に合意し、2024年度よりアルミ合金ファスナー用材料として「低炭素アルミニウム」を使用した合金線の購入を開始し、順次、適用を拡大させていきます。

 YKKは、2050年までに「気候中立」を達成するための持続可能性目標である「YKKサステナビリティビジョン2050」を掲げ、「気候」「資源」「水」「化学物質」「人権」の5つのテーマで目標を設定し、それぞれに関連する10項目のSDGsの達成に向けて取り組んでいます。「気候」のテーマにおいては、「SBTイニシアティブ」により認定された「1.5度目標」のもと、自社およびサプライチェーンにおける温室効果ガスの排出量を、2030年までにScope 1,2で50%削減 (2018年比)、Scope 3で30%削減 (2018年比) することに取り組んでいます。「低炭素アルミニウム」のファスナー用材料としての採用は、Scope 3での排出削減目標の実現に向けた取組みの一つです。
 YKKでは、これからもお客様やサプライヤーの皆様と協働し、環境に配慮した商品・技術の開発・拡販等を通じて温室効果ガスの排出削減に取り組み、持続可能な社会の実現に向けた取組みを加速させてまいります。

■YKK株式会社 執行役員 営業本部 商品戦略部長 九十九 孝司コメント
 YKKはこれまで、ファスナー用繊維材料に再生材や植物由来材の採用を増やし、環境配慮型商品へ切り替えることなどにより温室効果ガスの排出量削減に取り組んできました。それに加えて、今回の「低炭素アルミニウム」はファスナー用金属材料においても環境負荷の低減を進めるものであり、YKKにとって新たな取組みと言えます。今後もビジネスパートナーと協働してサプライチェーン全体での環境負荷低減を目指してまいります。

※低炭素アルミニウム:アルミニウムの製錬工程では多くの電力を必要とし、電力源により二酸化炭素の排出量が異なります。今回利用する「低炭素アルミニウム」の二酸化炭素の排出量は、再生可能エネルギーを電力源としているため、アルミニウム地金1トン製造するにあたり4トン以下です。化石燃料を利用した火力発電等の電力源を利用する場合に比較して、大幅な二酸化炭素の排出量を削減しています。

■YKKデジタルショールーム
 YKKのサステナビリティへの取組み、環境配慮型商品の詳細はYKKデジタルショールームでご覧頂けます。 

■「YKKサステナビリティビジョン2050」と達成状況
 2050年までに「気候中立」を達成するためのYKK株式会社の持続可能性目標。「気候」「資源」「水」「化学物質」「人権」の5つのテーマと、関連する10項目のSDGsの達成にむけて取り組むとともに、YKK統合報告書「This is YKK」にて、毎年その達成状況を開示しています。


■YKK精神「善の巡環」とサステナビリティ
 YKKは、本業を通じた持続可能な社会の構築・実現を常に追求し続けています。こうした企業活動のすべての根幹にあるのがYKK創業者 吉田忠雄の企業精神「善の巡環」です。「他人の利益を図らずして自らの繁栄はない」という思想は、社会や顧客・関連業界、そして社員と共に栄え続けようとするYKKの企業精神を鮮明に表しており、サステナビリティと非常に親和性の高い考え方であると捉えています。
 吉田忠雄は、この企業精神の本質を、さまざまな言葉によって繰り返し社員に伝えてきました。「善の巡環」につながる「事業とは橋を架けるようなもの」と説いた言葉は、社会全体の利益を図らない限り、自らの繁栄もないという、SDGsの考え方に通じます。「清らかな湧き水のごときものづくり」「工夫で活かせばゴミも立派な資源に」という言葉は、環境配慮につながり、「大樹より森林の強さを」という言葉は、人権と個性への尊重につながります。創業者の言葉が話された当時と今とでは状況や背景は大きく異なりますが、創業者の時代から、サステナビリティと親和性の高い思想が経営の根幹にあり、80年以上たった今の時代においてもそれは継承され続けています。


<ご参考>
■住友電気工業株式会社
1897年の創業以来、電線・ケーブルの製造技術をベースに、独創的な研究開発とあくなき新規事業への挑戦を通じ、新製品・新技術を創出し、事業領域を拡大。現在では、世界約40カ国、400を超えるグループ会社に約29万人の従業員を擁し、環境エネルギー、情報通信、自動車、エレクトロニクス、産業素材の5つのセグメントで、グローバルに事業を展開。


 ■富山住友電工株式会社
住友電工グループの製造拠点として、アルミニウム、ニッケル等をベースとした高品質で高性能な電気・電子材料を製造。